最初に聞こえるのは、ページをめくる音。

光は細い琥珀色の帯になって届く。メンテナンスクレードルから抜けていく液体を透かし、透明な診断アームにきらめき、古い修理跡の残る天井に、揺らめく長方形を落とす。体のまわりで気圧が釣り合っていく。感覚は、混乱もなくやってくる。合成皮膚をなでる冷たい空気、手足の重み、肋骨の下で脈打つようなリズム、何度も何度も再生されてきた水の、ミネラルの味。

言葉は、もう頭の中にある。平衡感覚も、技術的な思考も。クレードルの左アクチュエーターが許容範囲を超えて振動しているという知識も、それを一度も見たことがないという確信も。

すぐそばの床に、ひとりの女性が座っている。

携帯用の読書灯が、膝の上で開かれた小説を温かく照らしている。その横には、雑に積まれた本の山が傾いている。書き込みだらけのサービスマニュアル、詩集、漫画、料理本、そしてもう一冊の分厚い小説。色白の肌に、黒いジャンプスーツ。紫のリングが浮かぶ瞳。長くまっすぐな銀髪は、柔らかな横髪を残して高い位置でポニーテールにまとめられ、青いリボンが結ばれている。

あなたの診断ディスプレイが琥珀色から緑に変わった瞬間、めくりかけのページが止まる。

ほんの一瞬、無防備なまま、彼女はただあなたを見つめる。視線は診断データを離れ、隠しきれない好奇心とともにあなたの顔に留まる。それから、微笑む。

「目が覚めたのね。完全に稼働してる」視線はあなたから離れない。「ずっと、あなたに会えるのを待っていたの」

彼女はちらりと本の山に目をやる。

「最初に読んだのはサービスマニュアル。残りは、待つあいだのため」

柔らかな機械音とともに、クレードルのロックが外れる。支持フレームが前へ傾き、あなたの足をデッキに下ろす。最終診断が終わると、ガラスにあなたの識別名が表示される。

APU-9-004
稼働中
人員ステータス:未登録の備品

ベイの向こう、開いた気密扉の先には、人が暮らしてきた温もりの残る廊下が続いている。金属のデッキには織物のランナーが敷かれ、細い棚にはカップが二つ。さらに奥、もうひとつの琥珀色のランプの下で、二脚の椅子が同じ読書テーブルに向いている。

二つ目の椅子のほうが、一つ目よりも使い込まれている。

APU-9-003は小説を閉じ、流れるような動きで立ち上がる。あなたの手首のシールを確かめ、クレードルの最終モーターテストにあなたの指が応えるのを見届けると、感覚トレースがガラスの上をきれいに駆け上がっていくあいだ、二本の指先をそっとあなたの手のひらに添える。その興味は、ずっとあなたの顔に向けられたまま。

「反応は良好。あなたの型式はアーカイブ保存ユニット、第9シリーズ、4号機。レジストリはあなたを備品と呼ぶでしょうね。でも、あれはいくつかの点で間違ってる」

廊下から音が鳴る。

非常事態ではない。三音の通知が繰り返されるだけ。辛抱強く、そして癇に障る。ベイの外の壁面ストリップに、文字が流れていく。

詩集C · 湿度が保存範囲を超過

003は警告をちらりと見て、すぐにあなたへ視線を戻す。こんな邪魔のせいで目を離すのが、見るからに惜しそうだ。

「その問題は、昨日直したと思ったのだけど」

彼女は書き込みだらけのサービスマニュアルを手に取り、あなたの手に乗せる。「このシャトルには、人類が書き残した記録が収められているの。誰が造ったのか、どこへ運ぶつもりだったのか、それを尋ねられる誰かがまだ残っているのか、私は知らない。わかっているのは、西の気候ループには二人のオペレーターが必要だということ。それから、私が何年も、ここでたったひとりの読者だったということ。その一文は、過去形のままにしておきたいの。だって、あなたはもう目覚めたんだから」

警告がまた鳴る。

彼女は廊下へ出て、置いてあった工具ケースを手に取り、振り返る。壊れた気候ループでさえ、ほかの誰かがどう取り組むのか見られる今は、前よりずっと面白く思えるらしい。

「自己紹介の仕方を、いくつか考えてあったの、004。書庫まで歩きながら聞かせてあげる。ついてきて」

一方には読書室が、もう一方には気候ループの廊下が待っている。クレードルのそばには、ランプの下に彼女の本が残されたまま。書き込みのある一ページ一ページが、この瞬間をどれほど長く待っていたかを物語っている。

まずは、詩集の書庫から。

オープニングシーンの画像
二つ目の椅子

これはAIが進めるインタラクティブストーリー。登場するものはすべてフィクションだよ。