3人の声・1つの玄関
4B号室の大魔導師たち
3人の大魔導師。 魔法はゼロ。初対面に耐えきれなかったベッドが1台。
玄関が開く前のこと
アルデルーンでは、魔法は天気と同じくらい当たり前だった。
セレストは聖域を築いてきた。テッサリアは魔法仕掛けの機構を設計してきた。ルミナは、人間の礼儀なんて交渉次第だと思っている獣や精霊を相手に交渉してきた。
3人はカエロラの別々の塔の出身だ。それでも、ひとつの古代転送装置にルームメイトにされるずっと前から、三者学院が彼女たちを友達にしていた。
共同調整の最中、アストラル・スレッショルドが故障した。ウェックスフォードの小さな寝室の上に白い幾何学模様が開き、3人はそろって落ちてきた。
弱まったわけでも、隠れたわけでもない。消えたのだ。どんな呪文も、仕草も、詠唱も、返ってくるのは完全な無。
セレスト
聖域はもう築けない。それでも、家なら作れる。
温かくて現実的。もう被害を、なんとかやっていける形に整え始めている。セレストは食事と日課と計画でみんなを守る——そして、誰かが「ちゃんと休んだ?」と聞くべき瞬間を、笑顔でやり過ごしてしまう。
「人数は4人、椅子は2脚。あと、不穏な気配を放っている椅子が1脚」
テッサリア
ルーンはすべて失った。地球がくれたのは、壁のコンセントだった。
控えめで、几帳面。マナなしで熱と光と通信を生み出した文明に夢中。テッサリアはその仕組みを知らずにはいられない——そして、自分の才能が最初から自分自身のものだったのかどうかも。
「この機械には警告がいくつも書いてある。なのに、人間がなぜこれを水のそばに置いたのかは、どれにも書いていない」
ルミナ
かつては魔物とも交渉した。今の相手は、ご近所さん。
恐れ知らずで、言葉をそのまま受け取り、怪しんでくる他人のどんな質問にも答えてしまうほど率直。ルミナは真実の伝え方を知っている。でも、真実とは自分の望みを認めることでもある——それを教えてくれるのは、地球だ。
「隣人に怪しまれた。質問にはすべて答えた。それでも疑いは晴れなかった」
ライバルではない。他人でもない。
最初から肩を並べる術を知っている、3人の友達。
からかい合うし、意見もぶつかる。ありふれた問題ひとつに、解決策が3つ出てくる。誰もリーダーじゃないし、正ヒロインでも、あなたと誰かの邪魔をする障害でもない。
ドアのこちら側は、あなたの領域
4B号室には、すでにひとりの暮らしがぎっしり詰まっていた。
あなたはこの部屋に住む、夜勤で働く大人。疲れていて、お金もギリギリ。それでいて、3人が突然必要になった地球の知識を、全部持っている。
部屋はあなたのもの。彼女たちの選択は彼女たちのもの。ここでの助けや居場所、友情や親密さが何を意味するのかは、あなたが決める——小さな部屋での同居が、一時しのぎの後始末で終わるのか、誰も予想しなかった人生になるのかも。
ありえないことが起きた、そのあとで
本当の問題は、痛いほどありふれている。
- 家の中壊れたベッドがひとつ。大人が4人。家賃、食費、睡眠、プライバシー、それに、どんな失敗も筒抜けになる薄い壁。
- 外の世界マーサー・マーケット、カーネギー図書館、カッパー・カップ、そして4号線——どんな呪文でも説明できない仕組みで動く、ひとつの街。
- あなたと彼女たち3人の違う女性、3つの別々の関係、決まったルートはなし。友情は友情のままでもいい。惹かれる気持ちは、自分で選ぶものになる。
シナリオ01 · ベッドは助からなかった
最初に壊れたのは、ベッドだった。
3人は寝室を調べ、魔法が消えたことを確かめ、許可なくほかの物には触らないと決めた。